whose(恋をしたら2)
気だるい快感の波が引いてゆくのを正斗はまだ熱の残る体で横たわって感じていた。 正斗を荒々しくイカせて、射精させると秋也はどこかへ出て行った。 自分がどれだけ秋也を傷つけたか身をもって体感させられている。 あの言葉は怖がりな自分の本心だが、建前であって本音ではない。 本当は誰にも秋也を取られたくないし、秋也が他の誰かを見ることになど耐えられない。 しかし、耐えられないから敢えて予防線を張っているのだ。あの秋也を自分だけに留めておく自信など正斗には無い。 その予防線が許せないと秋也は言う。 そんな物は不要だと全身に教え込まれる。 ・・・こんなにも、愛している、愛されてている。と。 失神するまで続ける・・・傷付けた代償がこんなに幸せな報復でいいのだろうか。 相手を傷つけたら、失神するまで抱かれるなんて。 こんな甘い恐怖もあるんだな・・・・。 自分が放った白い液垂れを眺めて身体に感覚が戻るのを待っていると、カチャリとドアが開いて秋也が戻ってきた。 ゆっくりと正斗の視線が秋也を捕らえる。 「・・・?」 正斗の目が秋也の手にしている物に止まった。 な、に? 秋也はソレをまるでマイクでも持つようにくるっと宙に放り上げて見せた。 「コレがなんだか分かるか?」 歪んだ楽しみに秋也の口元が綻ぶ。 ゆるく首を振って応えた正斗にいっそう秋也は楽しそうに見えた。 秋也は横たわる正斗の脇にしゃがむと正斗を覗き込んだ。 秋也は手にしている器具の先を正斗のまだ敏感な乳首に押し当てぐっと力を込める。押しつぶされた乳首からビリッと鳥肌が立つ。 「これはね、今から正斗のイヤらしい所に挿れられちゃうの。」 「え・・・・?」 「電動字消し・・・図面の製図に使うんだぜ。電動歯ブラシみたいな物。・・・・ほーら。」 秋也がスイッチを入れるとブーンという振動音がして電動字消しの細い先端がブルブルと震え出した。 途端、正斗の目が確かめるように秋也を見た。 「い、やだ。秋也・・・嘘だろ。」 そう言ったそばから正斗の片足は秋也に掴まれ、ぐっと折り曲げられてしまう。 そうして開いた股間を秋也が覗き込む。 「や、め・・・・・っ。」 秋也は完全に正斗を無視して、菊の花のような熱を吐き出す門を指で抑えると電動字消しを差し込んだ。 ヌ、プ・・・・。 「はぅっ!!」 正斗の背が大きく仰け反る。 初めての人工的な異物、プラスチックの感触とその凸凹に身体が驚く。 今まで、そこに秋也のもの以外、挿入されたことは無い。 「俺に謝ってもらおうか。」 その声に被さる形でヴゥゥゥーーンと正斗の門の奥、内臓の中でくぐもった低い音が聞こえた。 柔らかい襞に直接じかに伝わる人工物の振動。 人間には在りえない、電動の信じられないくらい激しく早い動き。 「ゥッア!!あぅっあぅ、、ああああ!!」 正斗の反応を確認し、股奥の秘門がブルブルと振るえているのを目で確認して、秋也は正斗の両足を閉じ、奥に挿入した電動字消しをきつく割れ目に挟み込ませた。 正斗の引き締まった尻山が細かく震えている。 「あ!アキヤっ!イヤだ!イヤ!!抜い、て、いやぁああっ!」 「俺が、おまえを捨てて他の人間に走るワケがねーだろっ!」 力任せに秋也が正斗の双丘を左右から押して寄せ合わせる。 秋也の手にも振動が細かく伝わってきた。 「うッ!っく!あ、あ、あ。ンンンーーッ!」 一層振動を感じて正斗は堪えきれずボロボロと泣き出した。 先程達したばかりの正斗の分身も力強く持ち上がり脈打ち始めている。 「ゆる、し、て・・。俺、そんな、、、で。っぅ・・・ッ。」 身体の奥で唸り、首を振る字消しに翻弄されながら正斗は秋也に詫びた。 ぐっと秋也が正斗の肩を抱き上げ、その身体を胸に抱き締める。 荒々しいけれど、いつものように優しさのある情熱的なキスが仕掛けられた。 「ふぅ、、んぅ、、。」 字消しに柔襞を乱されながら震える身体で必死に正斗は秋也のキスに応えていた。 「まだ、足りないよ。正斗。」 優しく正斗を見つめながら秋也は片手を正斗の股間に伸ばし、ほんのすこし秘門から出ている字消しの端を掴んでぐりぐりと回したり、出し入れしたりして正斗のスポットを執拗に攻め立てた。振動を堪能させるようにゆっくりと襞の上をなぞって回転させながら引き抜き、ギリギリで押し戻し、正斗の場所にきつく捻じ込ませる。 「不安なんか俺が無くしてやるから。」 ウィンウィンと秋也の手で字消しが肉に踊る。「正斗、ほら、ほら・・・もっと。」優しい秋也の声。 高まりには長い指が絡められ、親指が裏筋を搾り出す動きで擦っている。 「ーーーーーッ!!!」 正斗はもはや声にならない悲鳴を上げ、激しくからだを震わせて悶えた。 「ハッ、ア、も、ゆ・・して!秋也ァッ!!」 秋也が正斗の中心を大きく喉まで咥えこむ。 尖らせた舌先で割れ目と蜜の源泉を掻き出すように繰り返し掘られる。 鋭角な快感がツキーンと幾つも脳天を走り抜け、そのたびにきゅうぅぅっと全身が絞り上げられた。 ヴィィィーーーン。 電動字消しが唸り、たっぷりと唾液を乗せた舌が、唇の巧みな吸い付きと共にサオ全体に絡みつく。 逃げ場の無い快感の津波に正斗は呑みこまれ、身体中を痙攣させて瞬く間に2度目の噴火をした。 「ッアッアッアアアアーーッッ!!」 秋也の耳に、正斗の悦びの最後の鳴き声が心地よく響いた。
――――――目の前を暗転させ、無重力に放り出され激しく迸らせた自分。 なのに・・・・まだ満たされていない。身体の奥に不完全燃焼で残る種火がある。 当然だ。じらされている。 身体は今だ与えられない絶対の存在を信じ熱を溜め込んで時を待っているのに。 じわりと、涙がまた目に滲んだ。 意識は刹那失われたが失神することは出来無かった・・・・まだ求めるものがあるからだ。 正直な身体は後門を熱くヒクつかせ、奥を扇動させ正斗を駆り立てて――――― 秋也の虜。 達する自分を強く抱き締め、見つめていた愛しい人。 彼の目の前で次々と自分は開放され、自由になる。 欲しい、秋也が。 涙目で正斗は秋也を見上げ、定まらない乱れた呼吸で喘ぎながら秋也をなじった。 「・・・わか、ってんだ、ろ?・・・ど、し、て・・・。」 正斗の身体が求めるものをいつだって秋也は的確に分かっている。今、正斗の身体がどういう状態かも充分に分かっているはずだ。 なのに。わざと、くれないのだ。 「ちゃんと言わなきゃ分からない。」 ズルリと正斗の恥部から字消しを引き出すとその両足を大きくMの形に開脚させる。 正斗は自分のソコの腫れた状態を見られても、もう、欲しい気持ちが勝っていて恥かしさも抵抗も無い。 熱い秋也のが欲しくて、欲しくて堪らない。 「欲しい、秋也が、秋也が欲しいよ。」 零れた涙を腕で隠して顔を背ける。自分のソコが、今の自分の言葉に反応してヒクヒクと蠢いたのがわかる。 秋也は蜜で蕩けた自らの熱棒の先端を正斗の秘門にツンと押し当てた。 そして、門をノックするようにツンツンっと腰を使って突付く。まるで鳥が木の実を啄ばむように。 それが、正斗を狂うかと思うくらい切なくさせた。 「い、いやだ!秋也。もっと、ちゃんと、ちゃんと中に!・・・・奥まで入ってくれ・・っ。」 ボロボロと泣いて正斗は秋也をねだった。 わがままを言う子供の泣き顔で。 「よく出来ました。」 秋也の声と共に、巨大な秋也の昂ぶりが正斗の可憐な門にあてがわれ、ズズズッっと一気に呑み込まされる。 待っていた衝撃に正斗は激しく顔を振り、もがくように暴れて反応した。 内臓が押し上げられるくらいいっぱいに秋也が入ってくる。 受止めきれないと思う気持ちが受け止めたいという気持ちに従う。 秋也が全てを納めるために腰を上方に突くと、正斗の身体は内側から押し上げられ、浮き上がるほどだ。 「アアッ!秋也、秋也!秋也ぁっ!」 いつもにも増して大きい。 小さな種火は秋也によって燃え上がり、正斗を焼き尽くすまで燃え広がるのだ。 こすられ、摩擦され、どんどん熱を与えられる。発熱し炎に包まれてゆく身体。 ズンッ、ズンッ。 内臓に直接与えられる愛情の衝撃。 脳に伝わるよりはっきりと身体に教えられる。刻まれる。・・・・愛している。と。 秋也の激しい腰使いにずり上がる正斗を秋也が強く自分に引き戻し、音をさせて高まりを突き込む。 「アアッ!!」 秋也の男根の最も太い根本まで柔門に呑み込んで、正斗は泣きながら再び前を堅くした。 こんなにも・・俺・・秋也・・・っ。 結合している互いの部分を秋也は凝視しながら的確に奥を穿つ。 額に汗を浮かべ、より深く、奥を求める。 柘榴色に熟れた正斗の秘部に秋也の狩猟本能は堪らなく掻き立てられた。 狩り落とすまでもう、止まらない。自分の手元から逃げようとする獲物を捕獲するのだ。 正斗を前にして火のように猛り、いっそう男になる自分をいつも秋也は自分の性器の張りで実感する。 どんな女を抱いてもこんなになることは無い。 「っク!」 自分に身体を任せ、揺さぶられている正斗を見ると、この上ない征服感と満足感が湧き上がってくる。 秋也は正斗の両腕を掴むと身体の位置を逆転させ、正斗を自分の上に仰ぎ見た。 角度を変えられ、下から打ち込まれる姿勢に正斗の背が弓なりにしなる。 秋也が両手を正斗の腰に添えた。 「正斗、俺をイカせてよ。」 きつく眉根を寄せていた正斗が微かに瞳を開いて秋也を見下ろす。 「自分で動いて。」 言葉と共に秋也は両手で正斗の腰を上に持ち上げ、浮かせる。そして今度は自分に引き付けて腰を深く落とさせ、納める。 「あふっ、あ、ふぅぅぅぅ!」 それを何度か繰り返した。 「出来るだろ?」 正斗は魅入られたように膝に力を入れ、やや前傾姿勢になって自分の奥深く埋まっている秋也の熱棒をズ・・と引き出した。それだけで、襞が擦れ門が震えて・・・。 「あ!ぁアーー。」 ゆっくりと腰を戻す。 自分の姿態が恥かしくてまともに目を開けていられない。震えてしまう。 「怖がるなよ・・。もっと自分の気持ちイイ所を狙うんだ、知ってるだろ?気持ちイイ場所。」 散々教えたよな。 分かっている、どこが自分の『場所』なのかくらい。秋也によって思い知らされているから。 でも、やはり狂いそうな快感が怖い。そんなところを自分で攻めるなんて。 微かな躊躇も、秋也の激しい下からの一撃で吹き飛ばされる。 突き上げられてソコを打たれたのだ。歯を食いしばったが遅かった。声がもれた。 「アァーっ、い、っいいっ。」 ビィィーーンと身体が感じて伸び上がる。 前を秋也が両手でいじってくれる。 「全部見ていてやるから。素直になれよ、正斗。」 先端をこねられ、逆手でしごかれる・・・・ときおりフクロも転がされて。 「い、イイっ・・・。っはぁ、ソコ、い、いー・・。」 更に声がこぼれ出てしまい歯止めも利かなくなった。 正斗は我を忘れて腰を使い、自分のスポットに秋也を打ち付けて狂い咲いた。 ズンッ!ズンッ!! 「ア!ああ!!秋也ぁ、さい、こう・・・あきや、あき、やァ。」 ズンッ! 秋也が正斗の腰の動きに合わせて下からも腰を上下させる。 正斗が腰を浮かせば、秋也は腰を引き、熱棒をギリギリまで外に出す。 正斗が腰を沈めれば、秋也は根本まで突き上げる。 「ァァっ、イイッーーーー!」 秋也の潤みのため、結合部からはグシュッ、グシュッ・・・ニチャッ、グシュと鮮やかな音が上がった。 「正斗ッ!!」 秋也は迫り来る限界に上半身を勢いよく起こし、正斗の両膝を掴んで持ち上げた。 後門一点で全身を支える形になった正斗は悲鳴を上げて秋也の胸に縋り付く。 その震える熱の身体を秋也が確かな腕で抱き締める。 2人は極限まで登りつめ、今まさにその頂点から飛び降りるのだ。 秋也は正斗の深部に情熱と愛情を痛いくらい発射し、ドクドクと脈打ち、絶え間なく打ち上げる千切れそうな射精を遂げ、正斗は3度目の白い涙を、2人の胸の間で分身を打ち震わせながら撒き散らした。 ガクン、と正斗の身体から力が抜ける。 ――――――― 甲高い時の声を上げたのを最後に正斗はバタリと気絶した。
ひやっとした冷たい感触に正斗はダルイ目を開く。 頬にあてられたミネラルウォーター。 覗き込むこの上なく優しい瞳。 身体はまだ重たく深海に沈んでいるけれど、徐々に浮上するような心地よくて最高の目覚めだった。 コメカミに『おはよう。』のキス。 「俺は、ふつうのマトモな恋愛なんてもう出来ないよ。最高に極上の恋愛してるから。」 ぼんやり音が遠い正斗の耳に、秋也の穏やかな声。 「だからもう、2度とあんなこと言うな。今度言ったらもっとエゲツない物使って分からせないといけなくなるだろ?・・・・・な?」 優しい、優しい声。 愛情をたっぷりと注がれた自分。 愛して欲しかっただけなのかもしれない。もっとたくさんの愛情が欲しかったのかも・・・・・。 「え?」 「俺、秋也のためだけの存在になれたらいい・・・・。」 ゆっくりと微笑んで正斗は満足気に秋也の肩に甘えた。心も、身体も満ちていた。とても穏やかに。 「バカ。あんま可愛いこと言うなよ。照れるじゃん。」 「もう、秋也無しじゃダメなんだ、俺。」 「心が、身体が?」 「・・・・全部。心も身体も秋也のこと考えると熱くなる。そしたら、もう自分じゃどうしようもないんだ。どうやっても鎮められない。秋也を呼び始めちゃって・・・・我慢するのも結構大変。」 ぼぼっと秋也が紅くなる。 それを正斗が不思議そうな顔で見ていた。 「なに、照れてんだ?」 「おまえが照れるようなこと言うからだろっ!」 だって、今までここで散々口では言えないようなことをしたくせに、なにを今更。 ちょっと正斗が反撃をしてみようと思いついた。 ホントに失神するまで交られたからな・・・・。内臓の奥にはまだ秋也の堅い感触が、切なく腫れぼったい痛みと共に残っている。 「なあ、秋也。」 「なんだ?」 「あのさ。」 「ああ。」 「・・・・俺、秋也を世界で一愛してるよ。」
この後の秋也がどんなに狼狽してみっともなかったか・・・・それは正斗だけが知っている。
「ふふっ。」 正斗は間もなく帰って来る秋也を思って思わずまた笑ってしまった。 このリビングで熱く交わったのが2週間前。 彼の居ない場所がなんだか切なくて正斗はふらりと立ち上がって秋也の部屋へと向かった。 好きに出入りしていい。と言われていたが留守中に入ることはためらわれて一度も足を踏み入れなかった。 でも、今は秋也の空間に居たい。 広々とした20畳の秋也の部屋。 アースカラーでまとめられていて、ここも秋也らしいインテリアで飾られている。すごく秋也らしい部屋。 中央のダブルのベットで2人絡まって朝まで過ごしたことも1度や2度ではない。 「・・・・・・。」 余計、秋也が恋しくなった。 ・・・部屋なんか入るんじゃなかったな・・・。 大きな窓際の机には描きかけの図面。雲定規にサンスケ。 そして ――――――― 。 コトン、と正斗は何気なくそれに手を伸ばした。 電動字消し。 かぁぁっと1人赤くなって正斗は慌てた。 下半身に血が集中してきた。秋也の部屋で彼の匂いに包まれているのも原因だ。 「で、出よう・・・。」 字消しを放り出して踵を返した正斗は、思いがけず大きな胸に抱き締められた。 「!!」 「ただいま。正斗。」 あ、秋也?!まさか! 顔を見なくても秋也がニヤニヤ嬉しそうに笑っているのが分かる。弱みを握られて指先まで赤くなった気がする。 「1人で俺を思い出してヤろうとしてた?」 「ち、ちがっ!!」 案の定、とんでもない誤解だ。 ちぅぅっと唇が吸い上げられた。 「んっ!!」 「でも、それは禁止。いい?正斗。俺が見てないときに1人でやっちゃダメ。あくまで俺の前でやって、ね?」 「だから!違うって!」 キッと睨みつけるとゴインと一発正斗は秋也を殴りつけた。 「いってぇ!寂しかったって認めろよッ。」 「うーるさいっ!」
しかし、結局正斗はそれから2時間、秋也の部屋から出てこなかった。求め合う気持ちも同じなら、互いを想う気持ちも同じだから。 聞こえてくるのは2人の男の子の発する荒い息使い。・・・・・・甘い鳴き声、軋むベットの音。
――――― 川添家は今日も幸せに溢れている。 |