Love Match ラブマッチ (mine番外編)
・・・どうして、こんな展開になったのか・・・今となってはどうでもいい。 負けず嫌い大王の秋也に火がついて、見かけによらず頑固者の正斗が譲らない。 ただそれだけのことだった。 「正斗、引くなら今だぜ?」 そりゃ、可愛い正斗だが、引き下がらないところが気に食わなかった。 近頃ますます素直じゃなくなった。こいつ。 何かにつけ突っかかってくる。だから、余計に煽るような言葉を投げてしまう。 「『引く』?なんで俺が?秋也こそあんまヒートアップすんなよ。」 秋也の言った何気ない一言がかなり心に響いた。『おまえが俺に敵うわけないね。』 斜めに見下した目線も納得がいかない。 俺は秋也の所有物でもなければペットでもない。 「言うじゃん?そこまで言うんならいーよ、やろーや。」 秋也の言葉に正斗がテーブルにドンっとテキーラのボトルを乗せた。 それがOKの合図。 「先に潰れた方が負けな。」 「当然。」 「ただ飲み比べなんてつまんねーから、何か特典つけようぜ?」 「特典?」 「負けた方が勝者の言うことを何でも1つ聞くってのはどう?」 ニヤっと秋也が笑う。何かえげつないことでも考え付いたのだろうか、こういうときの秋也は実にいい顔をする。 「オッケ。いーよ、構わない。要は勝てばいーんだろ。」 「へー、余裕じゃん?」 ---------こうして、2人の飲み比べは始まった。 開始して数分で『しまった』と秋也は思った。 負けることなど考えもしなかった。 どうせ、すぐにギブアップするものと思っていた。 正斗が酒を飲むところなど今まで見たこともなかったのだから当たり前だ。 下戸なのでは・・・?と思っていたくらい。 ところが、である。 うっすら頬を赤らめるものの、正斗のペースは一向に落ちず逆にこちらを焦らせるほどになってきた。 しかし、負けるわけにはいかない。 その一方で正斗は次第に冷静になり、ばかばかしい勝負を止めるきっかけを探していた。 秋也のことだ、言葉を選ばないと意固地になる。 どうしようか・・・。 2人それぞれの思いをよそに、気がつけば1時間が経った頃・・・・。 秋也はろれつも回らず、完全な酩酊状態になってしまった。 あーあ・・・・。 「秋也、もう止めよう。」 これ以上やっても意味は無い。勝負は明らかだ。 「い・や・だ!」 酔っ払いほど始末に終えないものは無い。センターテーブルの上に突っ伏しているくせに、まだ勝負を続けようとする。 正斗はため息をついた。 本当は正斗本人だってかなり酔いが回っている。 何とか立ち上がれるうちにこんな意味の無い競い合いは止めたかった。 「俺はまーだ・・・飲めるッ。誰がなんってったって・・・飲ーめる!」 「いーよ、わかったよ。」 「おら、飲めよ、正斗!」 「もういーって。」 「俺は、勝つ・・・やるぞ、絶・・・対、やめねー!」 「いーよ、じゃあ秋也の勝ちでいーから。」 「なんだよ!負けを認めるってのか、正斗ー。」 「ああ、もう、それでいいって。」 言いながら正斗は秋也の腕を取って自分の肩に担ぎ上げようとした。 「じゃ、飲んでよ。お前に飲ませたい。」 秋也を支えて立ち上がろうとした正斗は以外にしっかりとしたその声に、思わず秋也の顔を見た。 「え・・・?何?もう勝負はいいだろ・・・?」 すると、今までふらふらに酔っ払っていると思っていた秋也がはっきりとした表情でニヤっと笑った。 「だから、飲んでよ。」 「・・・秋也?」 「負けた方は何でも言うことを聞くんだよな?正斗?」 「え・・・?」 「俺、お前に飲んで欲しいの。全部。」 正斗が支えていた秋也の体がふっと軽くなった。 次の瞬間、秋也は体を起こすとラグの上に片膝を立てて座り込み、正斗を正面から見据えてきた。 「何を?なんて子供みたいなこと聞くなよ。はっきり言うのもなんだろ?」 すべてを理解した正斗がカッと赤くなって秋也から目をそらした。 「お前にフェラチオされて、イキたい、なんて露骨なこと言えないじゃん?その口で奉仕されたい、なんてさ。」 正斗はますますうろたえて赤くなり、後ずさった。 挑発するように秋也が獣の色で正斗を縛る。 動けない・・・。 そんな正斗の頬に秋也が右手を伸ばした。 目をそらした自分を秋也が今もまっすぐに見つめているのが分かる。 「嫌ならいい、無理にとは言わない。」 そう、秋也は言ったが絶対にして欲しいという気持ちの裏返しだということくらい、明らかだ。 「嫌なことを強要はしないから。」 秋也はそう言いながら正斗の頬にかけた右手で正斗の顔を自分の股間へと導いた。 相変わらず顔を背けたままの正斗だったが、秋也の股間の前に跪くような格好になった。 「さあ・・正斗、どうする?」 正斗の目の前で腰をクイっと動かす。 それだけで、もうたまらない気持ちになっていた。 秋也は正斗の鼻先数センチのところで自分のジーンズのジッパーをゆっくりと下げた。 ヂーーーー・・・・・。 それに正斗がぴくっと反応する。 「それとも・・怖い?」 正斗の頬に触れたままの右手で秋也は優しくその頬をなでた。 「おまえ、バカだな・・・。そういう態度が一層俺をそそってんのが分かんないの?」 秋也が優しく頬をなでている。 「無理やりにでも引っ掴んでしゃぶらせてやりたくなる。」 やさしい声にふっと正斗が秋也を見上げた。 困惑と恐怖の入り混じった表情で。 「正斗・・・注意その2。その顔で俺を見上げるのも逆効果。火に油を注いだ。」 その言葉に一瞬目を伏せた正斗だったが、ゆっくりと目を開くと意外にもふっと笑って見せた。 そして、秋也の股間に手を伸ばした。 ヒクっと秋也の腰がはねる。 「俺・・・怖くなんかないよ。」 そう小さく呟くと正斗は秋也の瞳を見つめたまま、手だけを動かして秋也の下着に触れた。 その中では、もう期待ではちきれそうになっている秋也のモノが驚くほどの大きさに膨れ上がっている。 「っく・・。」 秋也はあまりの興奮に天を仰いで目を閉じた。 そうでもしなければ、喜びに体が震えて今にもイキそうだ。 心臓が痛いくらい突き動いて苦しい。 本当なら今にも正斗に襲い掛かって猛った本能に任せて狂おしいほどに抱きしめたい。 しかし、今はそれを我慢して正斗に身体を預けそのたどたどしい愛撫を受けるのだ。 「・・・・・おまえ、どこまで俺を本気にさせたら気が済む?」 小さく呟くと秋也は正斗の唇を強く深く吸った。 正斗はアルコールが回って熱っぽくなっている。 「う、ん・・ん・・・。」 「おまえの・・そんな所が好き。ウブで白いところが。」 2人の脇で空になったワインのボトルがころん、と転がった。 |